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「自分なくし」の帝王、右も左も壁だらけの養老孟司先生。

 2015/06/23      , 自然科学

「唯脳論」にガツンとやられた私は色んな所で養老先生の本をお薦めするのですが、いまいち伝わらないようです。

「孟子?中国の?」とか言うやつが本当にいるんですよ。アンビリーバボーです。
そんなとき、私と世界との間に壁がくっきりと浮かび上がるのが見えてきます。

最近、養老先生の新刊が出ました。

タイトルからして、怒る人がいそうです。
養老先生の本を読んだことがある人にとっては新鮮味がないかもしれませんが、楽しめるとは思います。
昔から言っていることは変わらず、扱うテーマと出てくることばがちょっと違うだけですが、定期的に取り入れたいもんです。
一番最初に言いたいことが書かれてます。気になる人は最初だけでも(笑)
【主な見出し】
◆文系の方がデジタル◆自分一人で楽しめないのは、工夫して自分で問題を解決していないから◆ティッシュのように配れる仮想現実◆人の認識はどうすれば変わるか◆なぜ、社会科学の問題を細胞から論じるのか◆あらゆる存在がネットワークでつながる世界◆僕が実験が嫌いな理由◆STAP細胞に「感動」した笹井氏

養老孟司のおすすめの本

新しいのよりも、「バカの壁」よりも、まず唯脳論を読んで欲しいです。

唯脳論

「物でもねえ、心でもねえ、全部、脳なんだよ。」という話です。ですが、その真意は読めばわかります。とても興奮します。

「われわれはいまでは脳の中に住んでいる。したがって、その脳を知ることは、われわれの急務である。それが、公式的には、私が唯脳論を書いた動機である。」

先生も、そう言っています。
どんな客観的な科学も、脳が解釈した世界です。

色々難しい話が並んでいるんですが、
構造と機能の話が特に面白いです。

循環系の基本をなすのは、心臓である。心臓が動きを止めれば、循環は止まる。では訊くが、心臓血管系を分解していくとする。いったい、そのどこから、「循環」が出てくるというのか。心臓や血管の構成要素のどこにも、循環は入っていない。心臓は解剖できる。循環は解剖できない。循環の解剖とは、要するに比喩にしかならない。なぜなら、心臓は「物」だが、循環は「機能」だからである。

たとえばこの例が、心と脳の関係の、一見矛盾する状態を説明する。脳はたしかに「物質的存在」である。それは、「物」として取りだすことができ、したがって、その重量を測ることができる。ところが、心は実は脳の作用であり、つまり脳の機能を指している。したがって、心臓という「物」から、循環という「作用」ないし「機能」が出てこないように、脳という「物」から「機能」である心が出てくるはずがない。言い換えれば、心臓血管系と循環とは、同じ「なにか」を、違う見方で見たものであり、同様に、脳と心もまた、同じ「なにか」を違う見方で見たものなのである。それだけのことである。

他にも、口や肛門の話、視覚とか、ハッとする話がたくさん出てきます。
「形の真髄はリズム」とか「直線はない」とか色々。
途中でちょいちょい出てくる冗談も良いです。

これ一冊あれば、いつまでも物思いにふけられます。

バカの壁

超バカの壁

死の壁

自分の壁

壁シリーズは、バカの壁だけ読んでればいいんじゃないでしょうか。
全部しゃべったやつを文字に起こしているので、納得いかない人も多いかも。
「死の壁」の、なぜ挨拶ができないのか、という問題と、子供の頃に起きた父の死を大人になってようやく受け入れられたことの関連は興味深いです。

希望とは自分が変わること

嫌いなことから人は学ぶ

大切なことは言葉にならない

この3つは、季刊誌「考える人」の連載「万物流転」をまとめたものです。
タイトル通りの内容が延々と書かれている訳ではありません。関係ないこともないのですが。
期待して損した、という人もいました。
でも面白いですよ。ひたすら紀行文みたいなやつは疲れますけど(笑)
巻末の付録(?)が良かったです。

結構どっしりしたやつ

ヒトの見方

からだの見方

軽いやつ

逆さメガネ

涼しい脳

まともな人

虫の虫

養老先生と言えば、虫ですね。
ホンマでっかTVに出ている池田教授とも一緒に虫取りに行くらしいです。

「身体」を忘れた日本人

夏に新刊が出るようです。

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