スナゴケはコケ界最強です。
ハイゴケと並び、育てやすいコケの代表として、園芸初心者の強い味方となってくれます。
和名:エゾスナゴケ
学名:Racomitrium japonicum(ラコミトゥリウム ヤポニクム)
分類:キボウシゴケ科 シモフリゴケ属 エゾスナゴケ
※コバノスナゴケという種類もいますが、メジャーなのはエゾスナゴケ。まとめてスナゴケと呼ばれる。
分布:北海道~九州まで日本全般。北半球に広く分布しています。
スナゴケの魅力
スナゴケは、世の中にあるコケ全般とは真逆の特性を持っています。
- 乾燥に強い(水やり適当でも大丈夫)
- 日向を好む(屋上緑化で温暖化対策に)
- 土壌がなくても平気(どこでも育つ)
「日陰の湿ったところで、ひっそりこっそり」というのがコケのイメージですが、スナゴケは違います。
太陽光をガンガン浴びようが、カラッカラに乾燥しようが、土がなかろうがお構いなしにドッカンドッカン増えていきます。
屋上緑化で温暖化対策の救世主に

By: Jaysin Trevino
スナゴケは屋上緑化に使われる植物として近年注目を集め、複数の企業が事業を展開しています。
よく使われる芝は土がないと育たないので、重量が増します。おまけにきちんと水をやって管理ないと枯れてしまいます。
スナゴケは、乾燥、日照、土壌という普通のコケが敏感なところにズボラ(寛容)なため、重量も軽く、管理コストもかからないので大変都合が良いのです。
屋上の温度は真夏は60℃にも達しますが、スナゴケで緑化を施すと-20℃ほど温度が下がるので室内への熱流れが抑えられて、冷房費を節約することが出来ます。これは芝生とほとんど同じ効果ですが、管理費も掛からず(雨水だけで育つ)、重量も軽いので導入も簡単。いいことづくめです。
とにかく育てやすいから
スナゴケは「星形が綺麗」と言われ、環境問題にも立ち向かうその立ち位置から、コケ界のスターなど言われて調子に乗ってるようです。
私は流行っているものはあまり追いかけたくないタチですが、スナゴケは見逃せませんでした。
軟弱で神経質なコケのイメージを覆す脅威のスペックに惹かれています。
山にいるレアなコケは、山に居てもらえば良いです。たまに見るくらいが調度良い。
でも毎日見ることが出来るコケならば、ベランダでも育てられるならそれに越したことはありません。
キャビアを取るか、アジを取るか。一生どっちかしか食べられないとしたら私はアジを選びます。だからスナゴケが好きです(ハイゴケも)。
いつでもどこでも、どんな時でもへこたれない剛健さ。
増える楽しみ、愛でる喜び。それがたとえささやかなものだとしても、日々感じさせてくれる存在は大切だと思うのです。