5分の曲を聴くには、5分かかります。
「ビートルズのアルバムを2時間で全部聴きました!」
というのは絶対に不可能です。
音よりも速いスピードで移動しながら生きていれば出来るのかな?
ハイレゾだろうが、BOSEのイヤホンだろうが、絶対無理なのです。
月額1000円以下で、聴き放題、というか選び放題。
そんなの別にいらねえだろうと思うんですが。
インターネットは確かにすごいんですが、それはもっぱら文字情報、視覚的なものに関してだけだと思います。
あとは単に通信、今までは知り合えなかった人と会えるとか、そういうのは確かにすごい。
でも、音楽だけは壁があります。無理です。
100万曲は聴けないよ。
2015年7月から、Appleも本格的に参入した定額制の音楽配信サービス。
正直、よくわかっていません。
でも、なんかへんだよね、という違和感がずっと抜けません。
1曲5分。1時間12曲。1日288曲。1ヶ月8640曲。
サビだけ聴くんでしょうか。
サビという概念もちょっとね・・・
音楽がどんどん安くなります。
市場原理で安くなるのならば、それは仕方がないのでしょうか。
PAと照明の違い
PAは、音楽ライブで、舞台上の演奏される音を会場の音響特性に合わせて最適な音質で提供する仕事です。
これは、その場に、その人がいないと話になりません。
照明は、どのタイミングでどういう光をどういう具合で当てるか、ということが肝なので、操作を機械に任せてしまえば、人がいなくても出来ます。
厳密には違いますよ。どっちも人がいないと出来ません。
でも、音波に対して、光波は環境に左右されづらい。だから、プランさえ考えればあとは誰かに任せてもどうにでもなる。
つまり、耳が大事なPAは瞬間瞬間の判断が必要ですが、目で見る照明は最初のプランが全てを握る。
その場に”替えが利かない人”が必要かどうかの違い。
この違いは大きいです。
音楽は、音波です。最終的にお客さんが消費するには時間がかかります。絶対に。
パッと聴いてどうにかなるものではありません。
それを量で圧倒しようというのは、ズレた考え方だと思うのです。
1%も楽しめないサービス
1ヶ月で1万曲聴けないのであれば、サービスの1%も使えないんです。無駄ですよ。
仮に8640曲だったとしても同じ。
これを素晴らしいサービスだと思う人は、自分で料理をしたこともない、野菜を育てたこともない、子供も嫌いな人でしょうね。
最後はライブ。実演にしか価値がなくなる。
山下達郎さんも言っていたそうですが、これからはCDもレコードもない時代に逆戻りになるはずです。
これまではいかにCDをたくさん売るかが大切で、ライブは宣伝の一貫でした。
でもこれからは逆で、生で、ライブ、実演にしか価値はないということになる。
わざわざ遠くまで足を運んででも生演奏を見たい。そういう人しか生き残れなくなります。
簡単に実現できてしまうことには価値はなくなります。当然の流れといえばそうなのかもしれません。