音楽は全部即興です。クラシック音楽だろうが、アシッドジャズだろうが、即興なくして生まれていなかったものです。だってそうじゃないですか?何にもない状態から作るんですから。最初は楽譜もクソもありません。音楽は即興の積み重ねで出来上がっていくのです。
人間は、ついそういうことを忘れがちです。
料理だって、本来レシピはないんです。誰かが色々試して、『ああ、これいいじゃん』というのをメモって、だんだん改良が加えられて、ぼんやり完成形が出来上がっていく。でも、これだって終わりじゃない。とりあえずの暫定的なもんです。
いつでも楽譜が用意されていると思うなよ
『楽譜がないとピアノが弾けない』という人はめちゃくちゃ多いです。
ウソです。本当だけど、ウソです。
その人の中で、ピアノを弾くということが、『楽譜があってそれに沿って鍵盤を叩くことでしかない』と思い込んでいるだけなのです。
楽譜なし、即興だけの音楽なんて音楽じゃないという考えは意外と根強いです。でもそれは完全に偏見です。
楽譜はとても便利なものです。バッハやベートーベンの曲を今でも誰かが演奏して、それを聴ける幸せは、楽譜のおかげです。だから、楽譜が読めることも、楽譜通りに演奏できる技術も素晴らしいものです。
でも、それが音楽の全てではない。というかそれは、あくまでも再現することに比重をおいているというだけで、数ある音楽の表現の1つに過ぎません。
順番で言ったら、楽譜は絶対に後なのです。
もっと喜んで実験をしましょう
みんな教科書的なものとか、ハウツー的なものを求めます。実験を進んで喜んでやろうとしません。全部ひとしきり結果が出てからあれはダメだ、こっちは使えそうだ、とやっている。自ら犠牲になって(本人はそう思っていないでしょうけど)突っ込んでやっている第一人者に向かって失礼な人がすごく多いですよね。
正解がないことに、いちいちケチをつけられたら、たまったんもんじゃありません。
誰にも注目されなくても、しっぽり実験を楽しんだほうが絶対に良い。それだけは間違いないと思います。
4拍子と7拍子
『4拍子でリズムをとれ』と言われたら、結構だれでも簡単に出来るはずです。
でも7拍子はみんな出来ません。流行っている歌に7拍子がないからです。人間の本能とか、技術とか以前に、単純に馴染みがないというだけで上手にリズムに乗れない。大半の人はそうです。
もし、10年後に7拍子の名曲が生まれても、今の流行している歌が好きな人はついていけないでしょう。
そんなもんです。
今、音楽を作ろうとすると、4拍子前提で始める人が多いはずです。わざわざ7で実験をする人は少ないはずです。一定数いるとは思いますけど。
たとえ楽譜を離れて作曲しようとしても、何かしら我々を縛り付けているものは無数にあるということです。
自由に考えるって本当に難しい。
まとめ
実験的な音楽というのはあんまり相手にされません。聴いていて心地悪かったりしますからね。意味分かんないし。
ゴッホみたいなもんです。死んでから褒められるかもしれないし、褒められないかもしれません。
でも、褒められること、心地良いもの、キレイなものを基準にしてしまうと、大事なものを見失うかもしれないよ、という話。
これからの時代、本当に自由に自分を開放して、即興でやってみるって多分、大切です。