ミカンをたくさん食べる人は生活習慣病の発症リスクが低くなる。
と言われたら、まず何を考えますか?
「ミカンの成分が何か効果があるのだろう」と考える人が多そうです。私も最初はそう思いました。
どこの誰が言ったの?それは信頼できる機関が発表したの?科学的な根拠は?検証期間はどれくらい?
などと、続いていくのではないでしょうか。
この研究結果を発表したのは、農研機構果樹研究所と浜松医科大などのチームです。調査対象は温州ミカンの産地である浜松市三ケ日町地域の30~70歳の男女1073人。
ニュースの記事にはそう書いてありました。
ここまで読むと、「ミカンを売るために都合良く解釈しているんじゃないの?」とか言い出す人が出てきそうです。
更に、記事は続きます。
調査期間は2003年から10年間で、健康状態の変化とミカンに多く含まれる橙色の色素「βクリプトキサンチン」の血中濃度との関係を統計的に分析した、らしいです。
はあ。
その結果、毎日3、4個食べるレベルの血中濃度の人は、毎日は食べないレベルの人と比べて、糖尿病の発症リスクが57%低かった。非アルコール性肝機能異常症は49%、脂質代謝異常症も33%低かった。
βクリプトキサンチンをマウスに投与したところ、肝臓の炎症抑制や、脂肪細胞でのエネルギー消費促進などの働きがあることが分かったという。
果樹研の杉浦実上席研究員は「果物は糖分が多いため糖尿病に良くないと思われがちだが、危険因子ではなく予防因子であることを明らかにできた」と話す。
http://www.asahi.com/articles/ASJ3S54FCJ3SUBQU00M.html
なるほど、βクリプトキサンチンが身体に良いんだな、ということがわかる、気がします。少なくとも悪いってことはなさそうです。
よし、じゃあミカンをたくさん食べれば良いんだな!と解釈して今日からミカンを食いまくるメタボな人が現れ、スーパーや八百屋さんで品切れ状態になったりするんでしょうか。
これって不思議な話だと思いませんか?私は不思議です。
本当に?本当にミカンのおかげなの?
- ミカンをたくさん食べる人は生活習慣病の発症リスクが低くなる。
- 研究結果を発表したのは、農研機構果樹研究所と浜松医科大
- βクリプトキサンチンが身体に良い
- マウスでも実証済み
これだけ揃えば、「ミカンをたくさん食べると生活習慣病のリスクが低くなる」ということを主張するには十分な根拠があるように思えます。
でも、私は違和感を覚えます。
他に何を食っていたのか?
調査対象の30~70歳の男女1073人は、まさか10年間ミカン以外なにも食べていなかった訳がありません。
その人が普段どんな食生活を送っていたのか教えて欲しいです。
人間が一日に食べる量ってたかが知れています。ミカンをたくさん食べる人は、普通の人がお菓子とか食べている分がミカンになっていたんじゃないでしょうか。
今は栄養士という資格があったり、医学的な研究も随分進んでいますが、人間に必要な栄養素というのは実はわかっていません。あくまでもここまでは確からしい、という話を続けいているに過ぎません。科学ってそういうものです。
ましてや人の一生を追いかけて、食べ物がどう作用して、病気に関係するかなんて複雑すぎて頭がパンクします。
でも、とにかくミカンを食べないよりは食べたほうが良さそうな雰囲気です。
βクリプトキサンチン「が」すごいのか
あるたったひとつの成分がものすごい効果を発揮するというのは考えづらいと思いますが、何やら効果があるようだ。そういうのっていっぱいあります。
大腸がんを防ぐにはピロリ菌を抹殺してしまえば良いということで、堀江貴文さんが施術を受けたそうです。
でも、ひとつの菌がいなくなることで腸内の生態系にどんな影響があるのかわかりません。どちらかと言えば、私はそっちの方が気になります。
作物を育てるのに邪魔な害虫を徹底駆除したら、結果他の生き物もいなくなった、なんてよくある話です。
話は戻って、βクリプトキサンチンは、カキ、ビワ、赤ピーマン、パパイヤなどにも豊富に含まれていますが、温州ミカンはダントツですごい。ただ、酒を呑んだりタバコを吸うと効果半減するみたいなので、注意が必要です。
これを機会に人気爆発するかもしれませんね。
ミカンを食う
このニュースを読んでも、自分にとっては大して切実じゃないから別にミカンをたくさん食べようと思わない、という人はたくさんいそうです。私もそうです。
こういった情報に敏感な人に限って病気になったりするから厄介ですよね。