学生時代、コンビニでアルバイトをしていた。
21時半から翌朝8時までの夜勤だから、朝の交代まで店長に会うことはない。
夜はお客さんも少ないし、大概はバックヤードでおしゃべりか読書である。
それでも、やることはあるから、本当にぶっ通しでしゃくり倒している訳でもないし、小説1冊をじっくり読めるわけでもない。
それなりの、それなりだ。
7時位になると、通勤の会社員、通学の学生が大挙押し寄せてくる。
毎朝同じ甘いパンを買う女子高生がいる。辛そうな顔をしてやってくるが、それでも同じ甘いパンを買う。
大工さんは朝からカップラーメンとかワンタンを買う。昼用じゃない。今食うために買う。
そして最大のピークは8時15分ごろである。
ムッとしますねえ
最大のピークを前に、夜勤は店長チームと交代する。
申し訳ないような気持ちもありつつ、8時半まではやってられない、と思う。
長蛇の列を捌いた後、店長はバックヤードの我々に絡んでくる。
若者との会話を楽しみにしている。世間話で憩うのだ。
「いやあ、さすがにムッとしますねえ。」
生活がかかっている店長も、大量の客を捌くのは嬉しくない。嬉しい悲鳴なんてこの世にあるのだろうか。
365日、休みなしで働く店長。
客にムッとする店長。
盆も正月もない。旅行にも行けもない。
笑顔で客にムッとする店長。
ムッとしても構わない。
まとめ
神奈川出身の店長は、田園都市線が今でも田園風景の中を疾走していると思っている。