クサいは美味い。
そう言われてピンときた人は幸せ者だ。
クサいはクサいだと思っている人は、人生の半分を損している。
「嫌いなものを食べないで生きているのだから、何も損していない。」
と考えている人は、スリークォーターである。
納豆、キムチははっきり言って序の口だ。
この本を読めば、わかる。
足の匂い
カナダ人の友達とピザを食った。
ゴルゴンゾーラだ。ブルーチーズ。青カビ。
カナダ人は、
「これって足の匂いだよね」
と言いながら嬉しそうに食べている。
これも序の口だ。
ゴルゴンゾーラはむしろ良い匂いだろう。思い出補正もかかる。
この「くさい食べ物大全」には、ブルーチーズも泣いて逃げ出す、鳥肌が立ちそうなくさい食べ物のくさエリートたちが結集している。
ネットが普及しても、4Kが当たり前になっても、5.1サラウンドでも、ハイレゾでも、匂いばかりは、対峙しない
とわからない。
そういうことになっている。
- いしる
- くさや
- たくあん漬け
- タガメ醤油
などなど
筆者はありとあらゆる言葉を総動員してその「香り」を表現しようと腐心している。
人間は匂いと味を表現するのが下手だ。味覚と嗅覚が弱いからだ。
直接的な、専用の言葉はなく、常に、必ず、比喩表現になってしまう。
なぜクサイのか。しかし、なぜ美味いのか。
感じたことをダイレクトに伝えることは不可能に近い。
不可能だからこそ、著者の挑戦は美しい。