岩の表面に新しいコケが生えてきました。なかなか風流です。
アリストテレスは「植物は逆立ちした動物である」と言ったそうですが、私は逆だと思います。植物の方が歴史が古いんですから、アリストテレスがいかに頭の良い偉い人だとしても、この発言は先輩に対してひどく無礼です。
「動物は逆立ちした植物である」と言うべきです。
これを屁理屈と言います。
植物の根が水を吸い上げる仕組み
植物が根から水や水に溶けている養分を吸収して育っていることはよく知られています。
では、根が水分を吸い上げる仕組みはどうなっているのでしょうか?
わかる人にはわかる、当たり前のことですが、考えたことがない人もいるんじゃないでしょうか。
植物の根が水を吸い上げる原動力は、葉っぱの気孔からの蒸散です。上からどんどん水が出て行くから下から水が引っ張り上げられるのですね。
下から持ち上げて押し出している訳ではありません。
出て行くから入ってくる。
力の入れどころ、順番を間違えてはいけないということです。
一生懸命押しているのに進まなければ、一度手を休めて出口に行って様子を見てくると原因が掴めるかもしれません。
お金もそう。欲しければ使わないと入って来ないのです。使わないで過剰に留めておこうとする人に概ねジリ貧です。
インプットが大事、いやアウトプットだとガチャガチャ言いますが、自然にアウトプットする状況が出来ていれば、インプットもせざるを得ない状況になるものです。
無理矢理詰め込もうとしても、出口がなければ詰まってしまってそれ以上入って来れないのです。
成長の過程で、去るものもいる。
左下の葉。2,3日前からやばいぞ、やばいぞ、と思って見ていたのですが、いよいよ本格的に最終段階に入ってきました。
老舗の葉がまた一枚、引退のときを迎えようとしています。彼の気孔は機能を失い、いずれ蒸散が出来なくなります。そうすると、水が通らないので茎もしおれてしまいます。そして、土に還っていきます。
超新星爆発の瞬間のような鮮やかさ。星の最後も、葉の最後も同じですね。
このデカ草が大きくなるために、彼は犠牲になります。古株ですから、少しさみしい気もしますが、集団が成長していく過程でメンバーの交代は避けられないものです。
本人にその気がなくても、知らず知らずのうちに出口を塞いでしまうような場合、去っていただく他ありません。偽善者ではいけない。綺麗事だけで命を続けることは出来ません。
コケはちょっと違う
コケには根がありません(あるやつもいますが)。葉で完結する、非常にフットワークが軽い生き物です。
一見枯れたように見えても復活しますし(我が家のやつは置いておいて)、葉を粉砕したものが種になり、また増殖させることも出来ます。
他の植物にとってはありがたい肥料も、コケにとっては邪魔で、かえってそのせいで枯れてしまったりします。
そのポジション、必要?
友近のコントではありませんが、やたら段取りに拘る人がいます。
根があって、茎があって、葉を用意して。さあ準備万端よし行こう。
「おい、根はしっかり張ったか。茎の中継大丈夫か。葉っぱは綺麗に整えて」なんつってガミガミクチャクチャうるさいわけです。でもそういう人がいないと成り立たない。
お決まりのシステムに慣れてしまうと、こうした世直し中継おじさんがいないと仕事が回らないような気がしますが、必ずしもそうではありません。
根も茎も、なければないでどうにかやっていけます。どうにかやっていける状況を先に作ってしまえば良いということです。
茎だけやってりゃいい、というのはそれはそれで楽なんですけど。
ハイゴケ本丸
元気があるように見えないこともありません。周囲の助っ人たちは盛り上がっています。
やはり外人は陽気です。