世の中のありとあらゆる活動は、物の移動をひたすら繰り返しているに過ぎません。
仕事と言ったって、食べ物か、人間か、お金か、そのうちお金になるモノか、そのどれかを移動させているだけです。
農家は、野菜の種をまず土の中に移動させます。水を移動させて育てたら、今度は出来上がった作物をダンボールの中に移動させます。
その後は、運送屋が畑から八百屋まで移動させます。
漁師は海にいる魚をわざわざ地上に移動させています。自分から迎えに行ってる訳です。
料理人は、農家や漁師が移動させてた野菜や魚の姿を変えた後、お客さんの口の中へ移動させます。
石油王とその家来たちは、ものすごく深いところにある生き物の死骸を掘り起こして各国に移動させています。
銀行はお金を移動させまくっています。
掃除とは、埃やらゴミやらをゴミ捨て場へ移動させることです。
拭き掃除にしたって窓や机の誇りを水を使ってバケツへ移動させているだけです。
不動産屋は、家を借りたい、買いたい人を、目的の建築物へひたすら送り込んでします。
パソコンで何やらがちゃがちゃやっている人は、データを移動させています。
ミュージシャンは空気の振動を移動させています。
人の心を・・・というのはやめておきましょう。
ですから、何も動かせない人は、仕事が出来ないレッテルを貼られることになります。
デカイモノの移動ほど想像出来ない
ざっと見渡したところ、物理的に動かすのが大変なものほど舐められがちです。想像がつかないという人も多いのではないでしょうか。
デカイ乗り物

By: Michael Coghlan
新幹線の新しい車両をどうやって移動させているか、線路の張替えはどうやっているのか、船を作ったら最初はどうやって海へ入れるのか、普通は現場を見たことがないでしょう。
もう少し小さくても良いです。たとえば車。あれは作った直後はどうやって保管しているのでしょうか。
いくらトヨタでも、屋根付きの倉庫なんて用意しているはずがありません。散々雨風に晒されて、いざ購入者が決まったら営業(?)の人がそれに乗ってお客さんの家まで乗っていきます。
走行距離0から乗るのは不可能です。
デカイ楽器

By: Spikeaji
楽器にはデカイものがあります。筆頭はピアノですね。
会場にない場合、運んでくるしかありません。グランドピアノは軽く300キロ超えます。牛とか馬並です。
きちんとした会場であれば、動線が確保されていますからまだ良いですが、テレビや映画では、とんでもない場所に設置されているのを目にすることもあります。あれはすごく大変です。想像すると寒気がしますね。

By: Anja Cronenberg
クラシック音楽などで使われるコントラバス。あれはほぼ確実に個人の持ち物です。
でも、コントラバス奏者で儲かりまくっている人はそう多くありません。白い目で観られながら電車を使って頑張って移動しているのです。
フランスの美味しい水の大移動

By: Danny VB
わざわざフランスから運んできた水をみんな喜んで飲んでいます。
ウォーターサーバーなら楽ちん。Amazonで買えば効率が良い。
でも、それを運んでいる人は確実にいる訳です。
東京の水道水はすごく美味しいらしいです。日本の名水100選に入るような街の人に目隠しして飲ませると違いがわからないと言います。
適当に書いていたら、例に挙げるものが極端になってしまいました。
みんながデカイものを動かしたがる時代が来たらどうするか
物を運ぶのは他人に任せて、頭脳労働しようぜ、という時代は終わり、わざわざ苦労して物を動かしたい!とみんなが言い出す日はそう遠くないでしょう。と、思っていました。
歴史は、流行は繰り返すと言いますけども、そろそろ始まっちゃうんじゃないの?と何年も前から予想しているんですがまだ気配はありません。
目の前でちょろちょろやっていることなんて、所詮大したことはないんだとみんな気づいていると思うのです。
他人事のように感じている(かもしれない)、めんどくさい移動を担っている人は結構な数ですから、もっとムーブメントが起きても良いと思うのですが、まだ始まっていません。不思議ですよね。
頭脳労働派の人は、このままではいけないと肌で感じているはずですが、普段の生活の中でそれほど切実な問題になってこないから何となく毎日が過ぎていくのでしょう。
本当の田舎に住んでいたことがある人や移住して山を切り開いている人、毎日子どもを自転車に乗せて移動しているお母さん、趣味でボルダリングに夢中になっている人、海に潜って水圧を初めて感じた人。
そういう人は位置エネルギーの痛烈さを肌で感じていると思います。