君たちだってガンになることがある。ガンになって、治療法がなくて、
「あと半年の命だよ」
と言われることがある。
そうしたら、あそこに咲いている桜が違って見えるだろう。
では、桜が変わったのか。そうではない。
それは、自分が変わったということに過ぎない。
「知る」とは、そういうことなのだ。
私の尊敬する養老孟司先生の言葉です。
この言葉を地で行くドラマが「風のガーデン」なのです。
脚本は倉本聰。「北の国から」「拝啓、父上様」と合わせて富良野三部作と呼ばれています。
たかがテレビドラマ、されどテレビドラマ。突き刺さり具合でいうと、今のところ史上最強なのではないかと思います。
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麻酔学界の権威である中井貴一がガンに侵され、変わっていく
このドラマの主人公、白鳥 貞美(中井貴一)は、麻酔科准教授を務める麻酔学界の権威であり、死期が迫った患者を楽にする緩和医療のスペシャリストです。
しかし、まさに医者の不養生、自らガンに侵されてしまうのです。
ガンを知り、どう変わっていくのか、というところがこのドラマの見所です。
白鳥は、医者としての腕が立ち、女性関係は派手。性格は明るく陽気でひたすら冗談を言いまくる(これが中井貴一にぴったりです)役なのですが、私生活では過去に大きな失態を犯しています。
育児放棄と妻の自殺。家族との絶縁
白鳥は過去に結婚していて2人の子どもがいるのですが、長男の「岳」が知的障害を抱えていたことで、彼は育児を放棄してしまいます。更に、不倫関係が原因で妻に自殺されるという始末。このことが原因で父に勘当され、地元である北海道富良野に住む家族とは絶縁状態なのです。
ところがある日、東京に住む実姉の誘いで、白鳥は地元富良野を訪れることになります。
そして、さあどうなるものか。という話です。
とにかく、岳くんです。クライマックスは岳くんです。
このドラマの最大の肝は、白鳥の長男・岳くん(神木隆之介)だと思います。
知的障害を抱えているものの、ピアノの調律が出来たり、花の名前や、花言葉を覚える記憶力が凄いです。
このドラマにはウィットに富んだ花言葉がたくさん出てきます。全部覚えて、普段の会話に挿し込みたくなります。
チューリップ⇨目立ちたがりの開きすぎ
マシュマロウ⇨常務のアレらしい秘書課のオンナ
などなど・・・
とにかく、このドラマ、見る側がいかに岳くんに集中するかによって終盤の盛り上がりが変わってきます。私はあまりの衝撃を涙腺が決壊しました。
緒形拳の遺作
この作品は、緒形拳さんの遺作でもあります。ドラマが放送される直前の2008年10月5日に亡くなりました。
緒形拳さんは、2000年頃から慢性肝炎を患い、更に肝硬変を経て2003年から2004年の頃に肝癌に侵されています。しかし、手術を受け投薬治療や食餌療法を受けながら、病を隠して俳優活動を続けていました。
このドラマの撮影中もまさに闘病していた訳で、作中の主人公と全く同じような境遇なのです。そういう意味でも、見逃せない作品です。
風のガーデンは富良野にある
風のガーデンはドラマのために作られた施設ですが、今でも新富良野プリンスホテルの敷地内にあります。
花々は365品種、およそ2万株。
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北海道旅行の際には是非一度訪れることをおすすめします。
まとめ
映画にはない、連続ドラマならではの良さというものが詰まっていると思います。
ごちゃごちゃあらすじを述べるより、とにかく見たことない人には1度見て欲しいです。