SMOKEという映画があります。タバコ屋のおっさん、オーギーが主人公。舞台はニューヨーク市ブルックリン。
オーギーは、毎朝店の前の交差点を行き来する人の様子を写真に収めています。
彼の写真と店に訪れる客との間に起きるあれこれ。物語に出てくる挿話の1つ1つが実に粋で興味深いものばかりで、最後は絶対感動するはずです。
そのうちの1つを紹介します。
タバコの煙の重さを量る方法
冒頭、店でオーギーと客同士の談笑の中で、面白い話が出てきます。
ウォルター・ローリー卿がエリザベス女王の前でタバコの煙の重さを量ってみせたエピソードです。
「彼が英国にタバコというものを紹介した。彼は女王を“クイーン・ベッシー”と呼び、女王のお気に入り。タバコを吸うことがたちまち宮廷で流行。ローリーと女王も仲良く吸ったはずだ。彼は、“タバコの煙の重さを計れる”と女王に言った。」
客「煙の重さを?」
「そう、煙の重さだ。」
客「バカな、空気と同じだぜ。」
「あるいは“魂を計れる”と言うようなもんだ。卿は利口な男でまず新しいシガーを一本。それをはかりにのせて重さを計った。それからシガーに火をつけ、はかりの皿に灰を落とした。シガーを吸い終わると吸いがらも皿に入れた。そして灰と吸いがらの重さを吸う前に計ったシガーの重さから差し引いた。それが煙の重さだ。」
そして、この話のあとにタイトルロゴ。実に風流です。
変化がないを受け入れていると変化する
この映画を初めて観たのは10年以上前ですが、ずっと心に残っています。ブログにコケの写真を載せようと思ったのも、この映画の影響が少なからずあります。いやかなりあります。
変化がないことを受け入れることは、変化がないのとは違います。ウソをついても、ウソをつこうと思ったときの自分の気持ちはウソではないのと同じです。
なぜこんなウソとか変化とか急に言い出したんだと思われるかもしれません。映画を見て下さい。きっと「ああ、そういうことね。」と腑に落ちるはずです。